Short Shorts13

ー庭の珍客たちー





数年前に今のマンションに引っ越す事に決めた理由はね、
この辺りは都会とは言っても
とっても緑が多い・・・って事だったの。


我家から歩いて10分以内だけでも
無人で採れたて野菜が買える畑が何と3箇所もあるのよ〜。

梅林だの竹林まで有って

極め付けは我家の前が昔からの大地主さんの住いで
目の前が雑木林・・・
って所がすっかり気に入っちゃったのよね〜。


ベランダのドアを開けると
小鳥のさえずりが一日中聞こえてくるの。




それである日
庭の塀の上に「ミカン」を置いてみたの。

そしたらすぐに
2羽のヒヨドリがやってきたの。






それから暫くすると


   


「メジロ」も番いでやってくるようになったの。

シジュウカラも来たのだけど、写真が撮れなかったのよね〜。
それから勿論「スズメ」「鳩」なんかもね〜。


それで嬉しくなって

可愛い「フィーダー」を見つけたので、買ってきたの。
ついでに「小鳥のエサ」もね。





それで早速、庭の木に吊り下げてみたの。

そしたら・・・

その日の内に、来るわ来るわ・・・。

まずスズメが最初は10羽位だったのが
翌日には20羽以上

その翌日には30羽位が来るようになったの。
それも朝から夕方までずっとね〜。

同じスズメが食べっぱなしって事も無いだろうから
きっと次々に別のスズメが来ているのかもね〜。

小鳥の伝達力ってすごいよね〜。


お陰で我家のベランダはいつも大賑わい・・・。

コーヒーを飲みながら、そんなのどかな日々を楽しんでいたんだけど

良く見ていると中々興味深い事が分ったの・・・。





そこで前回「カラス語」の研究では
「ゴミ箱にネットをかける」
という、思わぬ事態勃発で研究が頓挫してしまった残念な結果を踏まえ

今回はそのような事が無いよう
最大の注意を払って
じっくりと小鳥達の生態について観察してみる事にしたの。

私も暇ってば暇よね〜。





さて、
様々な小鳥達の様子を見ていると 
それぞれに小鳥には小鳥の上下関係が有るという事に気がついたの。


これは中々面白い・・・。

まず「ヒヨドリ」ね。
ヒヨドリはいつも同じ鳥かどうかは分らないけど
必ず大小差が有る番いで毎日やってくるのよね〜。

で・・・

いつも必ず大きい方のヒヨドリが先に食べるの。
大きい方は恐らくオスだろうと思うので
ヒヨドリの世界も「男尊女卑」の世界なのなのかも知れないわね〜・・・。


メスはオスが食べ終わってからでないと食べてはいけないらしいよ。
・・・・。
たまにメスが待ち切れずに並んで食べようとしようものなら
オスは怒ってクチバシで追い払うんだからね〜。

中々の「亭主関白」ぶりなんだから・・・。

その上

後から来たのに先客のスズメたちを追い払って
我が物顔で食べ出すのだよ。

その時
側にスズメが一緒に食べようと寄って来ようものなら
くちばしで威嚇して追い払うんだから
性格は至って悪い・・・。


こいつだけ性格が悪いのだろうか。
でも、得てしてヒヨドリは性格が悪いみたい。


フィーダーは25p程しかない幅なので
並んで食べるにはかなり体も接近するの。

すると
相手がたとえ奥さんでも、側には寄せ付けないのだよ。


その上

見てよ〜!

あんまりエサの減り方が凄まじいので
暫くフィーダーを空のままにして置いたら・・・




私の大事なプランターに入れたパンジーの花びらを
全部食っておったわ。

最初、お花が全部ヘンになっていたので
病気にでもかかったのかと思っていたら
ある日、ヒヨドリがせっせとつついている現場を
見つけたのよ〜。

ったく〜、何てヤツじゃい!





そこへ行くと「鳩」は・・・

やはり「平和」を象徴する鳥といわれるだけ有って
スズメの中に入っても決して威嚇する事も無く

いつも仲良く一緒に食べているんだよね。





スズメが食べている時には、こうしてじっと待っていたりするんだよ〜。

但し、どうやらその鳩でさえ、
自分の頭より5センチ以内まで近づくと
相手が誰であろうと追い払うしぐさをするみたい・・・。

身の危険を感じるのかも知れないね。


そんなある日
すごい「珍客」が現れた!


ジヤ〜〜〜ン!


   


   


すごいすごい・・・。

お隣の雑木林に住む「
ワカケホウセイインコ
まで来ちゃったのだから驚いた。

サイズは頭から尻尾の先までだと35センチ位有りそう。
すごい迫力なんだから・・・。


この鳥は近所の噂では
どこかのペットショップから逃げた大量のインコが自然繁殖した
というのだけれど真相は分らないの。


お隣の雑木林だけでも100羽近く住み付いているみたい・・・。

いつもは高い木の上に沢山止まって
「キィーコ、キィーコ」
とその美しい外見に似合わず、けたたましく鳴いているのだけど
滅多に下には下りて来なかったんだけどね〜。




(10メートル程上の木に止まっている所)

それが

何で100羽位いると分ったかと言うと・・・


ある夕方、シャンディとお散歩をしていると





上の方から「キィーコ、キィーコ」とけたたましい鳴き声が・・・
フト上を見ると

何とこのインコの大群が2手に分かれて
夕方のお散歩に飛び立って行くではないの〜。


思わず空を見上げて
「1羽、2羽、3羽・・・」
と勘定をするわたし・・・。

だけど、途中で位置を変えるんだわ・・・これが〜。
「38・・・ん? あら、ちょっとちょっと〜・・・」

苦労の末、何とか勘定した数80羽弱・・・。


そして
木の上には10羽ほど「お留守番インコ」もいたからね〜。
恐らく100羽近くいるだろうと思った訳さ・・・。





さて、こうして毎日楽しく
コーヒーなど飲みながら小鳥達を観察していたのだけど


暫くして大変な事に気がついたの〜。


糞だ・・・。

毎日の小鳥の数が多いだけに、その糞も大変な量だ。

大事に育てている私のお花が
丁度フィーダーの下になっていて
そのフンで惨めに死んでしまったりしているではないの。


毎日エサを上げているこの私に
「スズメの恩返し」どころか「スズメのフン返し」だ。

まったくフンだり蹴ったりである。


その上

何とフィーダーの上にまでするんだからね〜。
普通自分の「
入れ」の上になんてするか〜?

「一体誰が洗うのよ〜!」

全く「フン
もの」だ。


そこで、
それなら水を流すホースの届く場所で、その塀のフンを毎日洗い流せる上に
お花にもフンがかからない場所にと
フィーダーを移す事にしたのだが

問題は他にも有った。


小鳥の「エサ代」だ。

毎日朝から途切れる事無く、どこからとも無く集まってくる小鳥達で
500g程しか入らない小さなフィーダーは
ものの2時間で空になる。

あまりの消費量に、「一日に2キロまで」
と決めて上げていたのだけれど
それでも10キロ入りで980円、消費税を含めると1,000円ちょっと・・・。

これが5日で無くなるのよ〜。

すると、
1ヶ月で6,000円もかかっている勘定じゃないの。
我家のエンゲル係数にまで影響が出てきたんだわさ〜。。


で、主人にそう言うと・・・。

「まぁ、それはそうだけど、毎日小鳥が庭に来てくれて
癒されているのだから、それ位いいんじゃないの・・・」

とあっさり言う。


まぁ、それもそうだと思っていたんだけどね、

この小鳥達、食べる時にクチバシでエサをパッパッと振り落とすの。
だから食べているのと落とした量が変わらない位なの。

下で食べているスズメもいるにはいるんだけどね

何とその後庭に得体の知れない芽が一杯出てきたの。
よくよく見たら、

何と!
落ちた小鳥のエサから一斉に芽が出ていたのよ〜。


そればかりか、毎日タワシでフンを洗っていて
塀に干して有ったタワシからまで「芽」が出てきたのには
驚いた・・・というより、笑っちゃったわさ。





だが、

それよりすごい事件が、ある日突然起こった。


いつものようにコーヒーなどを飲みながら
楽しく小鳥達の様子を眺めていた

その時・・・。


突然!

真っ黒の猫が、
塀の上に群がったスズメ達に襲い掛かり
何と
私の目の前のベランダに
餌食になったスズメを咥えたまま飛び込んで来たのだ。


もう、驚いたなんてものじゃない。

一瞬、何が起きたのか分らない位だった・・・。

そして
そのスズメを咥えて
今度は塀の外へ悠然と飛んで出て行ったの。


ショックだった・・・。


そして、その1ヵ月後

何故か我家の物干し場に、スズメの死骸が有ったの。





これは
若しかしたら、あの時のスズメかも知れないし

全然違うスズメで、こういう事は

ひょっとすると
私の知らない間に頻繁に起こっていたのかも知れない・・・。


毎日我家の庭に大量に集まるスズメたちに
近所ののら猫が目をつけていたのかも知れない・・・。


この事が有って、その後フィーダーは取り外した。

とても悲しかった・・・。
ショックだった・・・。

自分の楽しみの為に、結局は小鳥達を危険な目にあわせていたんだね。





それから

我家の庭は又すっかり元の静けさを取り戻した。

ベランダの戸を開けると、
以前と同じように
お向かいの雑木林に止まった小鳥達のさえずりが聞こえてくる。

けれども、今はあの賑やかさが
無性に懐かしい・・・。




それにしても「
小鳥」達も現金なもの・・・。
エサが無くなったとたん、プッツリと来なくなったわ。


そして

あれほど賑やかだった我家の庭は、

あれ以来

コトリ」とも音がしなくなってしまった・・・。