ボクのお父さんもお母さんも、
今までほとんどお姉ちゃん(サニー)のことを話してくれた事はありません。

それは

二人にとっては、とても大切な思い出でもあるし
辛く悲しい思い出でもあるからだそうです。

でも、今日初めて話してくれました。


(サニー6ヶ月頃)




(お母さんの話)


サニーとの出会いは、何だか「運命」だったような気がするのよ。
シャンディと出会ったときと同じようにね・・・。

それまで沢山のワンちゃんを見たのに
「この子だ!」

って、なんか二人とも、直感のようなものを感じたのだもの・・・。

とにかく

それはもう可愛くて、出会ったその日のうちに、そのままうちに連れて帰ったわ。
名前も、太陽のように明るいいい子に育つようにって
「サニー」に決めた。

本当に太陽のように明るくて可愛い子だった。

ちっちゃくて、まるでふわふわのぬいぐるみのようだった・・・。

おもちゃを投げて遊んで上げると、
まるで、ま〜るいボールみたいに駆けてきた。


(初めてのシャンプー、我家に来て2週間目)









生後6ヶ月の頃は、いたずら盛りでね、

良くスリッパや靴をグチャグチャにしたわ。
ガムなんかも一杯買ってあげたんだけどね。

そんな時
「新聞紙をまるめて、ワンちゃんがびっくりする位に叩く」
とか
「鼻をパチンとはじく」
とか、とにかく本に書いてあった通りのしつけをした。

なぜなら
お母さんも新米ママだったし、しつけとか何も分らなかったから・・・。

すると、
サニーは驚いて、部屋中を狂ったように走り回った・・・。

随分たってから
「このしつけの仕方は、ちょっと違うんじゃないか。」
って思った。

こんな小さい子をしつけるのに、
あんなに脅かす必要なんか無かったんじゃないかって

お母さん、すっごく後悔してる。

あの頃は、お母さんも仕事をしていて留守ばかりだったから
きっと、寂しかったんだよね。

だから

悪戯をされて怒るより

悪戯をしないように、噛んではいけないものは
手の届かないところに置くべきだったって、後で思った。

それで
シャンディの時はそんな風に気をつけた。


ね、シャンディは一度も悪戯をした事が無いよね。




それからね、

「サニー」には不思議な力が二つあったの。

ひとつはね、
殆ど、
どんなワンちゃんもサニーには吠え掛かったりしなかったこと。

よくいろんな飼い主さんに言われたものよ。
「うちの子が他のワンちゃんにしっぽを振ったの初めてです。」
って。

どんなに怖いワンちゃんが傍にきても、
サニーはいつも静かにしっぽを振ってたわ。

すると
さっきまで、あんなに吠えてたワンちゃんが、静かに寄ってくるの。
そして・・・しっぽを振ったわ。

そんな時、一番緊張してたのはお母さんだけ・・・。
特に大きい子の時はね。

でも
一度として、突然噛まれたり、吠え掛かられたりなどしなかった。

何だか不思議な気がした・・・。

それとね


出張ばかりしているお父さんの帰る日が、
サニーにはいつも、ちゃんと分っていたこと。


月に何度も出張するのに、一度として間違えたことない位・・・。

今日帰国という日には、いつも帰る時刻になると
玄関で待ってたわ。

お母さんが、いくら呼んでもこなかった。

お父さんが成田から電話をくれた時に分るのかな〜。
とか
いつもお父さんと笑ったものよ。

時々、予定より飛行機が遅れて、帰りが夜中になっても
サニーはいつまでも玄関でずっーと待ち続けた。

今でも不思議に思っているの。
どうして分ったのかな〜って・・・。

同じ条件でも
シャンディは、お父さんが玄関近くに来るまで分らないみたいなのに・・・。

ねっ、シャンディ(笑)。


(4才位のとき、那須高原にて)





(家族旅行の時にお預かりした生後4ヶ月頃のシュブ君
1才ちょっとでガンの為にお星様になってしまった)





(11歳ころのサニー)




そして・・・


それまで ほとんど病気らしい病気もしなかったサニーが

ある日
少し体調を崩した。


すぐに近くの病院に連れて行った。

念の為にという事でレントゲン検査をした。

「肝臓ガン」が見つかった。
末期だと言われた・・・。


それは
「サニー」が、もうすぐ15歳になろうとする11月の事だった・・・。


それからは

信じられないスピードで、弱っていった。
先生も、できる限りの事をしてくれた。

だけど
ガンの進行は止められなかった・・・。

そんなある日

これが最後のシャンプーになるかも知れないと思いつつ
お風呂場で、そっとサニーを洗った。

何故か、若くて元気だったころのサニーのことを
次から次に思い出した。

突然、涙がとめどなく流れた。

変わり果てたサニーの体を抱きしめながら、
いつまでもいつまでも泣いた・・・・。


その後も、つきっきりで必死の看病をした。

しばらくして

痛み止めも効かなくなった・・・。
サニーは一晩中、か細く泣きつづけた。


だから・・・

お父さんとお母さんは長い長い話し合いをした・・・。

そして
苦しい、苦しい選択をした。

「サニー、もう、頑張らなくていいのよ。素敵な15年間を有難う・・・。」

朝まで二人で
ずっと抱きしめて泣いた・・・。



翌朝
先生に二人の決断をお話した・・・。


それは
サニーが15歳の誕生日を少し過ぎた2月1日・・・。

お星様が一つ増えた・・・。


そして


それは、今も二人の心の傷・・・・。